手汗のせいで大切なコンクールが…

私は中学生時代、吹奏楽部で毎日厳しい練習に勤しんでいました。
朝は6時に登校し、朝礼の始まる8時15分までみっちり練習。
放課後は授業が終わってすぐ16時30分から下校時間の19時まで、毎日毎日練習していました。
もちろん土日も毎週練習をしていました。土日の練習は5時から15時まで、お昼休憩の1時間を除いて、ずっと練習でした。
よく休みもなく毎日何時間も練習していたなと今は思いますが、当時はそれが当たり前で大変な中でも楽しみがあったのだということでしょう。

 

そんな厳しい練習を積み重ねる中で、吹奏楽部全体の目標はコンクールの全国大会に出場することでした。私の所属していた吹奏楽部は、毎年県大会へ出場しており、そこそこ有名でした。ところが、県大会出場の経験はあっても、それ以上の大会へは1度も出場出来ていませんでした。「今年こそ、今年こそ全国へ」と誰もが思いながら毎日練習していました。
中学生の吹奏楽コンクールは年に何回かあり、当然私たち吹奏楽部もいくつかのコンクールに出場していました。上には上がいる、という言葉を痛感する瞬間が何度もありました。
練習量や練習の質が違うからなのか、素晴らしい才能の持ち主が揃っているからなのかわからないが、なぜこんなにも自分たちの演奏とは違うのか。顧問の先生と部員達でコンクールのDVDを何度も見て研究し、練習や演奏に生かしていきました。

 

コンクールは大きなホールで行われます。観客席は保護者や他校の生徒、先生で埋め尽くされるので、非常に緊張します。ステージの上に立つと、ライトの熱で暑くなり、緊張感で暑くなり、尋常ではない量の手汗が出てしまいます。
普段から私は汗をかきやすい体質で、手のひらはいつも手汗で湿っています。そんな私がステージの上で手汗をかかないはずがなく、コンクールの度に楽器を持つ手が滑って困っていました。
制服というのは汗を吸い取らないような素材で作られており、何度も制服で手汗を拭っても意味のない状態で、練習通りの演奏が出来ないまま、中学1、2年生のコンクールは県大会止まりで終わりました。

 

そんな2年間を過ごし、中学3年生になりました。最後のコンクールに向けて、それまで以上に練習に力を入れていました。
演奏前は控え室で楽器のチューニングをして、軽く全体で合わせ、円陣を組みました。最後になるかもしれない3年生は、いつも以上に気合が入り、1、2年生もその熱量に背中を押され、気合が入りました。
なんとなく、今年はいけるかもしれない、と私は思っていました。なぜなら控え室にいる時点では、例年に比べ手汗は然程酷くはなく、あまり緊張もしていませんでした。「このまま緊張せず、練習通り演奏できれば…」と考えていました。
舞台袖に移動し、前の学校が演奏する中、私達は待っていました。演奏前のジンクスをしたり、お互い緊張をほぐしあったり、それぞれ過ごしていました。私はただひたすら吸水性の悪い制服で手汗を拭っていました。
いよいよ演奏の順番がきて、ステージに上がりました。なんと、それまではあまり出ていなかった手汗がここに来て一気に手のひらをびしょびしょにしてしまいました。焦って何度も制服で拭くが、無情にも演奏ははじまってしまいました。

 

演奏後、私はここまで一緒に頑張って来た仲間に申し訳ない気持ちでいっぱいで、涙が溢れてきました。「大丈夫だよ」と元気付けられても、演奏中手が滑り間違えてしまったことが悔しくて仕方ありませんでした。
コンクールの結果は、県大会銀賞。惜しくも次のコンクールへの切符を逃してしまいました。

 

私が手汗を全くかかない体質であっても、次のコンクールへ進むことは出来なかったかもしれません。しかし、手が滑らなければもっといい演奏が出来たことは間違いありません。

 

これが私の手汗が出て大変な思いをした体験です。